tea

お兄ちゃん

ぼんやりした視界の中で、あたしはちっちゃくなっていく葵ちゃんの姿をずっとずっと見つめてた。
寂しくないようにって、葵ちゃんはいつもあたしを先に電車に乗せて、最後までお見送りしてくれる。

あたしが優斗くんに会いたいばっかりに葵ちゃんとの約束を切り上げたのに、やっぱりこんなに後悔してるなんて…。
寂しがって落ち込んで泣いて悔やんでるのに、心の中ではちょっと楽しみにしてる自分がいてなんだかヤになっちゃう…。

でも優斗くんから練習に誘ってくれるなんてめったにない…
いつも断られてばっかりだし、やっぱり今日しかチャンスはなかったんだもんっ。

葵ちゃんはそんなあたしの気持ちをなにもかも分かってるような目で見て、それをサラッと行動に移しちゃうから、あたしはすぐ葵ちゃんに甘えちゃうんだよね…。
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