tea
「今日なら練習早く終わるから、桜と帰れると思ってさ」


さっき来た道を帰りながら優斗くんは言った。
そんな何気ない一言があたしを喜ばせるとは知らずに…


「誘ってくれてありがとっ」


嬉しくなったあたしは満面の笑顔で答える。
それにしても今日は新鮮だったなぁ…って独り言いってたら、優斗くんの顔が近くまできて、何と聞かれる。
恥ずかしくなったあたしはプイっとそっぽを見て、そのドキドキを必死で抑えようとする。

優斗くんが分かってるか分かってないかはわかんなかったけど、フッて笑って戻ってく様子からして、やっぱりただあたしをからかってるだけなんじゃないかと思った。


「そういえば…お姉ちゃんは大丈夫だった?」


優斗くんが控えめに聞いてきた。


「…うん、またすぐ会えるしね」


あたしの中の罪悪感というものが、あたしの胸をチクリと痛みつける。
あたしの大切な大切なお姉ちゃん、葵ちゃんとのお出かけを途中ですっぽかしちゃったことは、いくら葵ちゃんが勧めてくれたことでもやっぱり後悔しちゃう…

大切な人ほど大切にするのが難しいって本当みたい…



あたしと葵ちゃんは双子の姉妹なのにね
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