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優斗くんは客観的に見ても結構モテる方だと思う。
同級生の男の子たちと違って落ち着いてるし、自己主張は強くないけどちゃんと自分をもってるし、そしてなにより、笑顔がとっても優しい。

「よろしく、桜ちゃん」

初めて会ったときからあたしはきっと恋してたんだ。
優斗くんのあのふわって感じの優しい笑顔にあたしは一瞬で魅了されちゃって、ろくに返事ができなくて、ただただ顔を赤くするばかり。
見兼ねた優斗くんはまた笑うと言葉を付け足した。

「家族になるんだから“桜”か」

優斗くんに呼ばれただけで、こんなにパニックになるなんて…
あたしの名前ってほんとに桜だっけ、なんてバカなことまで思っちゃったぐらい。
うまく言い表せないけど…優斗くんに呼ばれた“桜”って名前は世界で1番幸せな“桜”で、あたしは自分が桜でよかったって思ったんだ。

あたしだって本当は“優斗くん”って呼びたい。
でも優斗くんが俺じゃお兄ちゃんは無理だよねって少し寂しそうに言うから、お兄ちゃんて呼んでるんだよ。

優斗くんにとってはあたしは妹なんだろうけど、あたしはお兄ちゃん…うぅん、優斗くんのこと大好きだから。
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