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「達也、私もうそろそろ帰るね?」


熱中していた達也の顔が一気に不機嫌な様子へと変わったのが分かった。
子供みたいにころころと態度が変わるんだから。


「………ダーメッ」


いたずらに笑う達也が見えたと思ったら、急に私の後ろまわってぎゅっと抱きしめてきた。


「達也、大地が待ってるから…」


そんな風に寂しがる達也を可愛いなって思う半面切なさもこみあげてきて、私はきっと今、困ったような顔をしてるだろう…。
それでも私は私を包む達也の腕にそっと手を乗せて、なだめようとした。

達也の腕はごつごつと骨ばった男の人のもので、昔の男の子のそれとは違っていた。
その腕が不意に私の腕を掴んだ。

首に達也の熱い息を感じる。その息がだんだん近くなってきて、今度は唇が触れた。


「そんな困った顔しても、俺、やめないからな」


そう言うとまたひとつ、ふたつと首にキスをされ、私の体を熱くしていく。

早く帰ろうと思ったけど…今日はやっぱり無理かな。
身動きとれないし、達也やめてくれそうにないし、……それに今日はこのまましてほしいような気分だし…ね。


拒絶しない私をどうやら達也も察したみたい。
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