tea
リビングに戻ってくると、受話器を耳にあてる優斗くんの姿が目に入った。
あたしがニヤニヤ笑いながら近づいて、会話を聞こうと思ったら…

ハイってあっさり子機を返されちゃった。


「もう終わっちゃったの!?」


あたしが目を丸くしてると、持った子機からちょっと不機嫌そうな葵ちゃんの声がした。


『桜…?』


「あっ葵ちゃん、もう良かったの?もっと話しててもよかったのに…」


あたしが2階の部屋に行って帰ってきて、ほんの30秒ぐらい。
葵ちゃんあたしに気を遣ったのかなぁ…?


『私もそろそろ勉強しなきゃだしね?』


そっか、葵ちゃんは受験生だった…
あたしたち邪魔しちゃったんだ…


『邪魔だなんて思ってないからね、桜?』


葵ちゃんにはあたしの考えてること全部分かっちゃうみたい。
それがなんだか嬉しかった。



それからあたしは名残惜しいけど、なんとか電話を切ってから3人で夕飯を食べた。


「ねーねー葵ちゃんと何話してたのぉ?」


「自己紹介」


とだけ答えると黙々とカレーを食べる優斗くん。

そんなに恥ずかしかったのかなぁ…?
なんとなく優斗くんがいつもより無口な気がした。
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