tea
私の頬に一筋の涙が流れた。その涙は次から次へと溢れ出た。

慌てふためいて、かばんからくしゃくしゃになったタオルを捜し出して渡す彼の様子を見て、なんだか懐かしい過去を見てる気がした。
涙でぼんやりとした視界の中、ふと私はそんなことを思っていた。


すると彼はぎゅっと私を抱きしめて、大きな声で好きだと言ってくれた。
私も彼に好感を抱いていたし、断る理由なんてない。
そう思う私はなぜか遠くの沈みかけている夕陽を見ていて、その夕陽がとても真っ赤だったことを今でも覚えてる。


夏が始まるほんの少し前、私たちの付き合いは始まった。


でもね、達也…ほんとは違うんだ

あなたの境遇が可哀相とか同情とかそんなんじゃない

私はそんなに心優しい人間じゃないしね




私の涙にはね、もっともっと別の意味があったの
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