tea
ブーブーブーブー


そうやって私たちが話していると、テーブルの上で桜の携帯が再び鳴った。


「あっ優斗くんからだ」


嬉しそうに待受画面を見る目が、ふと私の目を捉える。

本当は電話でたいのに我慢してるんでしょ。そんなの桜見てればわかるから。

私が促すとちょっとだけ高くなった桜の声が聞こえた。


「…もしもし、うん、どうしたの?……えっ本当に!?…うんうんっ」


声のトーンが急に高くなった。なにかいいことでもあったのかな。
けど急にその声がしょんぼりしたものに変わる。


「……でもやっぱり無理だよ…。今日は葵ちゃんと先に約束してるんだから…」


「私はいいよ桜。これから達也のとこ行かなきゃだし。ねっ?」


桜が少し悲しそうな瞳をした。
私だってもちろん桜ともっと一緒にいたいよ。
でも、桜の恋は応援したいもん。


「ねっ?桜、またすぐ会えるから」


今度はちょっと悲しい気持ちと楽しみな気持ちが混ざったような顔をした桜が、うんと頷いた。


そして私の胸は少しだけチクリと痛む。
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