猫が好き!


「じゃあ、用が済んだら出て行けばよかったんじゃないの? そうすれば、こんな風に問い詰められる事もなかったのに」


 シンヤは再び視線を落として項垂れた。


「それは……真純さんが心配だったから……」


 まただ。


「何が心配なの? 今度はちゃんと話して」


 シンヤは項垂れたまま黙り込む。
 そして観念したように、か細い声で答えた。


「僕がここにいる事を、侵入したサーバの会社に知られたんだ。正確には、そこの社員で僕の裏稼業を知ってる奴」


 たまたまシンヤと同じビジネスホテルにいたそいつは、突然会社との通信が途絶え、会社に問い合わせたところ、同じホテルに”シンヤ”がいる事を知ったらしい。

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