猫が好き!


 ただのハッタリではない事が分かり、シンヤは呼び出しに応じた。

 要求は辺奈商事の情報。

 本当はハルコ経由でハッキングを完了した後だったが、昨日の今日でハルコには侵入が難しいと断った。
 するとそいつは、真純を利用すれば可能ではないかと提案した。


「でも、イヤだったんだ。僕なんかを信用して拾ってくれた真純さんを利用するのは。それで交渉は決裂。そしたらあいつ笑いながら言うんだ。真純さんに直接交渉するって。多少は強引な手を使うかもって」


 シンヤは頭を抱えて、更に項垂れた。

 今のところ何の被害もないが、そいつの言う事が、ただの脅しかどうかは分からない。

 シンヤが何を心配しているのかは分かった。
 どうして出て行かないのかも。

 けれど、ただ拾ってもらったという恩で、そこまで義理立てする理由が分からない。

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