猫が好き!


「今呼んだから、カレシが来るまで、もうしばらく我慢してね」


 口調は柔らかいが、目は笑っていない。
 しばらくとは、どれくらいなんだろう。

 背の低い真純は、椅子に深く腰掛けると、床に足が届かない。
 座っていても結構辛いのだ。

 そんな事より、シンヤが来るかどうか分からない事の方が問題だ。

 出て行ってくれと、冷たく突き放したのだ。
 怒って出て行ったなら、真純からのメールなど、無視されるかもしれない。

 シンヤが来なかったら、自分はいったい、どうなってしまうのだろう。
 それを考えると、背筋が寒くなった。

 真純の心中をよそに、男はすっかりリラックスした様子で、会議机に浅く腰掛けて、自分の携帯電話をいじったり、時々窓辺に寄って外を眺めたりした。

 突然男の携帯電話が鳴った。

 もしかして、シンヤ?
 そう思って男を見つめる。
 だが、どうやら違ったらしい。

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