猫が好き!
男は愛想のいい声で、応対に出た。
相手は会社の取引先のようだ。
この男は営業マンなのだろう。
営業マンなら、平日の昼間に長い間出歩いても、会社から不審に思われる事はない。
営業電話を切った後、男は再びヒマそうに、携帯電話をいじり始めた。
どれだけ時間が経ったのだろう。
外は日が傾き始め、部屋の中は益々薄暗くなって来た。
固いパイプ椅子に座ったままで、身体中あちこち痛くもなってきた。
呑気そうにしていた男も次第に苛々した様子で、窓の外を眺める頻度も増してきた。
窓の外を眺めていた男が舌打ちをして、吐き捨てるように言う。
「おっせーな」
そして真純の方に近付いて来た。
目の前に立った男は、真純を見下ろしながら嘲笑う。