猫が好き!
シンヤは男を睨みつけた後、突き飛ばすようにして手を離した。
そして男を目で牽制しつつ、真純の元にやってくる。
側まで来たシンヤは、真純の背後に回って、腕を縛った縄をほどき始めた。
男は先ほどのシンヤの剣幕に恐れをなしたのか、少し離れた場所から様子を見ながら声をかけてきた。
「辺奈商事の情報は持ってきたのか?」
シンヤは手を止めることなく、苛々したように言う。
「それは断っただろう。何度も言わせんな」
腕の縄がほどけて、真純は身体を起こし、口に貼られたガムテープをはがしにかかった。
シンヤは続いて、足の縄をほどき始める。
完全に蚊帳の外に置かれた男は、声を荒げた。
「おい! その女がどうなってもいいのか?!」