猫が好き!


「なんだって?!」


 男は頭を抱えて、おもしろいほどにうろたえた。

 シンヤはポケットから小さな紙切れを取り出し、指に挟んで男に見せつける。


「チャンスをやるよ。サーバの内蔵タイマが今日の十八時になった時、ウィルスは起動する。十七時三十分に五秒間だけ、停止パスワードを受け付けるウィンドゥが表示されるんだ。今後オレたちに手出ししないって誓うなら、パスワードあげるけど?」


 男は歯噛みしながら、ヒラヒラと挑発的に振られる、シンヤの指先を見つめる。


「急いだ方がいいんじゃない? もう十七時過ぎてると思うけどな」


 その言葉に弾かれたように、男はツカツカとシンヤに歩み寄り、素早く紙切れを奪い取った。


「よこせ! 誰がおまえなんかに二度と関わるもんか!」


 捨て台詞を残して、男はバタバタと部屋を飛び出して行った。

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