猫が好き!


 自分の手を奪い返し、真純は俯いた。

 先ほどの男との会話を思い出すと、シンヤはハッカーを止めるつもりがないように思える。

 それほど生き生きとしているように感じた。

 犯罪から足を洗い、ほとぼりが冷めたなら、また会って話をするくらいは、瑞希も許してくれるのではないかと、甘い期待を寄せていた。

 真純は俯いたまま問いかけた。


「またハッキングしたの?」
「してないよ」


 意外な答えに、真純は思わず顔を上げて、シンヤを見つめた。


「だってさっき、私に手出ししたから、ウィルスを起動させたとか言ってなかった?」

「全部ハッタリ。真純さんの写真見たら頭が真っ白になって、気付いたら家を飛び出してた。そんな余裕なかったよ」

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