猫が好き!


「僕、真純さんの同僚になったんだよ。よろしくね、先輩」


 今日は犬かぶりのシンヤのようだ。


「よく入れたね」
「うん。正面から人事を通したら、十中八九書類で落とされるだろうから、ちょっと裏技使っちゃった」


 シンヤは真純から聞いていた、瑞希の所属部署と役職を頼りに、辺奈商事に電話して、直接中途採用の交渉をしたという。

 書類上では実務経験一年未満の新人プログラマだが、シンヤの正体を知っている瑞希は、その技術力も知っている。
 そこに賭けてみたのだ。


「敵に回すより取り込んだ方が得だ、とか言って脅したりしてないよね?」
「そんな事はしてないけど、むこうにそういう思惑はあったかもしれないね」


 そしてシンヤは、瑞希の口調を真似て言う。

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