猫が好き!


 避妊具持参で来た奴が、草食なわけがない。

 ぼんやり考えていると、突然瑞希がテーブルをピシャリと叩いた。

 ビクリとして飲んでいたコーヒーが気道に入りそうになる。


「だったらシンヤくんがかわいそうでしょ? あんた、お肌だけはきれいなんだから、出し惜しみするんじゃないわよ」


”だけは”って何だ、”だけは”って!
 何気に失礼な瑞希の言葉に、そういえばシンヤが、ほっぺが柔らかくて気持ちいいとか言っていた事を思い出す。

 瑞希は身を乗り出すようにして、興味深そうに問いかけた。


「それらしい素振りは見せないって、シンヤくん本当に何もしないの?」

「抱きついたりはするけど、犬がじゃれついてるみたいなもんだし」

「バカね。そんな時”あんっ”って、ちょっとかわいい声出してみなさいよ。そうすりゃ乗ってくるわよ」

「え……」

< 175 / 354 >

この作品をシェア

pagetop