猫が好き!
避妊具持参で来た奴が、草食なわけがない。
ぼんやり考えていると、突然瑞希がテーブルをピシャリと叩いた。
ビクリとして飲んでいたコーヒーが気道に入りそうになる。
「だったらシンヤくんがかわいそうでしょ? あんた、お肌だけはきれいなんだから、出し惜しみするんじゃないわよ」
”だけは”って何だ、”だけは”って!
何気に失礼な瑞希の言葉に、そういえばシンヤが、ほっぺが柔らかくて気持ちいいとか言っていた事を思い出す。
瑞希は身を乗り出すようにして、興味深そうに問いかけた。
「それらしい素振りは見せないって、シンヤくん本当に何もしないの?」
「抱きついたりはするけど、犬がじゃれついてるみたいなもんだし」
「バカね。そんな時”あんっ”って、ちょっとかわいい声出してみなさいよ。そうすりゃ乗ってくるわよ」
「え……」