猫が好き!


 自分で言うか!

 心中でツッコミを入れていると、再び瑞希がテーブルを叩いた。


「とにかく! あんたも呑気に構えて、いつまでももったいぶってると、シンヤくんを横からかっ攫われるわよ」
「誰に?」


 すかさず尋ねる。

 瑞希は意味ありげに、意地悪な笑みを浮かべた。


「彼ね、社内じゃ結構人気あるのよ。バレンタインにも何人かにチョコ貰ってたし。全員年上ってのが笑えるけど」


 シンヤは会社でも犬をかぶっているのだろう。

 穏和で人懐こくて甘え上手な犬かぶりシンヤが、年上受けするのは頷ける。
 真純も犬かぶりシンヤには、案外ほだされて、うっかり甘やかしてしまうのだ。

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