猫が好き!
しかし辺奈商事では、数年前から義理チョコは禁止されている。
禁止令が発令された時、朝礼で「チョコを渡すからには何をされてもいいという覚悟の上で渡すように」と注意した上司がいて、しばらくの間、全社で話題になった。
という事は、シンヤは覚悟のチョコを貰った事になる。
そんな話は初耳だ。
真純の動揺を察した瑞希が、ため息と共にクスリと笑った。
「大丈夫よ。シンヤくんも義理が禁止だって事は知ってるから、全部丁重にお断りしてたわよ」
それでチョコを持って帰ったりはしなかったわけだ。
納得してホッと息をつく。
瑞希は仕事に戻ると言って席を立った。
そして冷ややかに真純を見下ろす。
「あんたね、そんな顔するくらいなら、もう少し彼の気持ちも考えてあげなさいよ」
そう言い残して、瑞希はカフェを出て行った。