猫が好き!


 目の前が真っ暗になったような気がした。
 益々会社——というか、情報システム部が遠退いたような気がする。

 呆然とする真純に、シンヤはそんな事になった経緯を説明した。

 シンヤの歓迎会に来た者は、シンヤに彼女がいる事を知っていた。
 ところが高木は、その時たまたま出張中で、参加していなかったらしい。

 事情を知らない高木が、シンヤに合コンを持ちかけてきた。
 シンヤが事情を話して断ると、高木の興味はシンヤの彼女に向けられた。

 どんな子なんだとしつこく聞かれ、答えたという。

 よりにもよって高木に、暴露する事はないではないか。


「なんでそんな事話すの?」
「なんでって……。別にうちの会社、社内恋愛禁止じゃないよね?」


 確かに社内恋愛も結婚も禁止されてはいない。
 だが発覚すれば、どちらか一方が他部署に異動となる。

 公然とイチャイチャされては、周囲の者の仕事に支障を来すからだ。
 だから皆、結婚は隠しようがないが、付き合っている事は隠したがる。

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