猫が好き!


 もっとも本人たちは隠しているつもりでも、桃色のラブラブオーラは案外だだ漏れなもので、大概周囲に感付かれている。
 上司も目に余るほどイチャイチャしていない限り、黙認しているのが現状だ。
 公私混同するなという、牽制を込めた規則なのだろう。

 真純とシンヤは同じ部署に所属しているが、元々就業場所は別々なので、この規則に関しては、何の障害にもならない。
 しかし——。


「課のみんなに知れ渡ったら恥ずかしいじゃない」


 真純が吐き捨てるように言うと、シンヤが途端に真顔になり、黙って真純を見つめた。

 突然、テレビのバラエティ番組から笑い声が響いた。
 シンヤは眉をひそめ、素早くリモコンを取り、苛々したようにテレビを切る。

 そして静かに問いかけた。


「真純はオレと付き合ってる事が恥ずかしいの?」

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