猫が好き!


 憤っているのは、むしろこちらの方だ。
 確かに会社で余計な事を言うなとは言ってなかったが、からかわれる事は目に見えているのに、何も考えなかったのだろうか。

 すねた子供のように、シンヤは更に言い募る。


「オレは真純にとって、今も拾った子犬なんだね。だから部屋に鍵をかけるんだろ?」
「それは前にも話したじゃない」
「飼い犬に咬まれたくないからだろ?」
「なんでそれにこだわるの?」


 真純は怒鳴ってシンヤを睨んだ。
 話があさっての方に飛躍し始めている。

 少しの間黙って睨み合った後、シンヤが再び口を開いた。


「飼い犬じゃなくて恋人なら、なんで嫌がるんだよ」


 ちゃんと説明して、納得してもらったと思っていた。
 ウソなどついていない。
 なのにシンヤは、施錠を拒絶だと受け取っていたのだ。

 嫌がってなどいない。
 いつかは受け入れるつもりでいた。
 ただきっかけがないまま、半年過ぎていただけだ。

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