猫が好き!
「おまえ、隙ありすぎ」
「何? ナンパ?」
「誰が。自惚れんな。道端でわぁわぁ泣いてるようなガキに興味ないし」
「悪かったわね! じゃあ、何?」
進弥は一つ嘆息し、先ほどの経緯を少女に説明した。
事情を知った少女は、意外そうに目を見開く。
「助けてくれたの?」
「不本意ながら」
進弥が憮然として答えると、少女は遠慮がちに礼を述べた。
「ありがとう」
夜遅く外をフラついている不良娘かと思ったら、案外素直だ。
意外に思い、少女の方を向く。
彼女は未だにベンチに片足を上げて、しきりに踵を気にしていた。
見ると、踵の上の足首の皮がめくれて血が滲んでいる。
かなり痛そうだ。