猫が好き!


「おまえ、隙ありすぎ」
「何? ナンパ?」
「誰が。自惚れんな。道端でわぁわぁ泣いてるようなガキに興味ないし」
「悪かったわね! じゃあ、何?」


 進弥は一つ嘆息し、先ほどの経緯を少女に説明した。
 事情を知った少女は、意外そうに目を見開く。


「助けてくれたの?」
「不本意ながら」


 進弥が憮然として答えると、少女は遠慮がちに礼を述べた。


「ありがとう」


 夜遅く外をフラついている不良娘かと思ったら、案外素直だ。
 意外に思い、少女の方を向く。

 彼女は未だにベンチに片足を上げて、しきりに踵を気にしていた。
 見ると、踵の上の足首の皮がめくれて血が滲んでいる。
 かなり痛そうだ。

< 193 / 354 >

この作品をシェア

pagetop