猫が好き!


 わめいた後少女は、俯いて再び目に涙を浮かべた。


「あたし、本当にあいつの彼女なのかな……」


 どうりで同じ匂いがすると思った。
 やはりこの少女は、自分と同じ不安を抱えていたのだ。

 進弥は缶の底で、少女の頭をコツンと叩いた。


「泣くな。別にふられたわけじゃないだろ?」
「叩かないでよ!」


 少女に元気が戻った事で、少しホッとした。
 泣かれるよりは断然いい。

 この時間だと、ほとんど人通りはないが、それでも時々人が通るのだ。
 自分が泣かせていると思われるのは心外だ。


「オレにわめいてないで、本人に言えば?」

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