猫が好き!
隣から少女が手元を覗き込んでいた。
進弥は慌てて電話を閉じる。
「覗くなよ。おまえオレには遠慮なしだな」
少女は益々無遠慮に突っ込んできた。
「ねぇねぇ、今のカノジョ? もしかして、あんたの方がカノジョとケンカしたの?」
「だから、オレの事はどうだっていいだろ。さっさと絆創膏貼って家に帰れ。充分時間はつぶせただろう」
「もおぉ。教えてくれたっていいじゃない」
少女はブツブツ言いながら、足に絆創膏を貼り始めた。
ベンチに乗せていた足に貼り終え、もう片方の足にも次々に貼っていく。
どれだけ相性の悪いサンダルを履いていたんだ、と半ば呆れながら眺める。
少女は絆創膏だらけの足に再びサンダルをはき直して、その場で数回足踏みをした。