猫が好き!
「ねぇ、そろそろ出てきてよ」
「やっぱりイヤ」
「なんで?」
「だっておまえ、そういう女のとこに行ったんでしょ? そんな奴に触られたくない」
これってヤキモチ?
思いがけずに垣間見えた真純の独占欲に、緩みそうになる顔を必死で引き締める。
まずは誤解を解かねば。
「行ってないよ。頭冷やそうと思って、河川敷まで桜を見に行っただけ」
「本当?」
「命、賭けてもいい」
布団がモゾモゾと動いて、むくむくと盛り上がる。
そして頭から布団をかぶったまま、ベッドに座った真純が姿を現した。
薄暗い室内で、窓に背を向けた真純の表情は読み取れない。
近付こうと身を乗り出した時、真純の方から進弥の首に腕を回してしがみついてきた。