猫が好き!


 彼女はおもむろに顔を上げて、財布から取り出した一万円札を進弥に突きつけた。


「お願い。そこのコンビニで買ってきて」
「へ? 自分で行けばいいじゃん」
「年齢確認とかされるの、うざいから。銘柄はコレね。三つばかり買ってきて」


 彼女は自動販売機に並ぶタバコを指差し、有無も言わさず進弥をせき立てる。

 進弥は諦めて、ひとつため息をついた。


「わかったよ」


 彼女は笑顔で手を振りながら追加注文する。


「ついでにビールも買ってきて。発泡酒じゃなくてビールね」
「はいはい」


 彼女に背を向けコンビニに向かおうとして、進弥は足を止めた。
 ふと思い立って彼女を振り返る。

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