猫が好き!


 ごまかしようもないので、時々、いや、ほとんど毎日、シンヤと一緒に寝ている事を白状すると、瑞希は頭のてっぺんから声を上げた。


「まーっ! それじゃ生殺しじゃないの。ひどい女ね!」


 一斉にカフェ中の注目が集まる。
 真純がなだめても瑞希は興奮したように言葉を続けた。


「優しくしてねって言ったけど、優しすぎるわよ、彼」
「何言ったの?」
「あんたが元気なかったから、優しくしてあげてねって言っただけよ」


 多分、春にシンヤとケンカした時だ。
 あの時は瑞希も優しかった。
 気を遣ってくれたのは分かるが、言ったのはそれだけじゃないような気がする。

 探るように見つめる真純を、瑞希は何食わぬ顔で見つめ返す。
 言ってしまったものを今さら取り消すのは不可能なので、あえて追及しない事にした。

 追及した方が、シンヤと顔を合わせ辛くなりそうな予感がする。

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