猫が好き!
瑞希は追及の手を逃れるように席を立った。
「それだけ大切にしてもらってるんだから、あんたも少しは誠意を見せなさいよ」
どういう誠意だ。
と突っ込む前に、瑞希は忙しそうにカフェを出て行った。
瑞希言うところの誠意を見せるのは簡単だ。
キス一つで事足りる。
シンヤが勝手に決めた、真純からの合図。
唇でなくてもいい。
真純がその気になったら、真純からひとつキスを送ればいいのだ。
それがあるからシンヤも自分からは行動を起こさないのだろう。
大した理由もなく、いつまでもお預けを食らわせているのは、正直気が引けている。
本当はいつでも、すでに心の準備は整っている。
それこそ生理でもない限り——。
「——あ」