猫が好き!
笑顔で尋ねると、真純は眉を寄せて、両手に掴んだものを素早く差し出した。
「違うよ。はい」
進弥は椅子から立ち上がり、戸口まで行ってそれを受け取る。
差し出された物は、ラップに包まれたおにぎりとステンレス製の水筒だった。
おにぎりはまだ温かい。
「わざわざありがとう」
「それなら片手で好きな時に食べられるし。あと、少し寒いから温かいお茶」
「うん。ありがとう」
「何度も言わなくていいよ」
俯いて照れくさそうにつぶやくと、真純は背中を向けた。
「じゃあ、寝るから。おやすみ」
振り向きもせずそう言って、真純は部屋を出た。
進弥は後を追って廊下に出る。