猫が好き!
何が気になっているのかは分かっている。
瑞希の命令とはいえ、シンヤが再び違法な事に手を染め、それが万が一にも発覚してしまえば、またここからいなくなるからだ。
シンヤは絶対どこにも行かないと宣言した。
きっと真純がかかえている不安を見透かされてしまったのだろう。
シンヤが自分でいなくなる事はない。
それは信じている。
けれどシンヤの意思に関係なく、連れて行かれたら——。
ゾクリと背筋がざわめく。
真純はひとつ身震いをして上着を羽織った。
シンヤの頭をそっと撫でる。
相変わらずシンヤは、起きる気配がない。
真純は少し微笑んで立ち上がり、部屋を出た。