猫が好き!
「僕を拾ってくれた、いい人だから」
単純なんだか謎めいているんだか、よく分からない奴だ。
真純はあからさまに大きなため息をつく。
「ホント、捨てられた子犬みたいだね。拾った人に懐くなんて」
「懐いてもいいの?」
シンヤは嬉しそうに笑いながら、身を屈めて真純の顔を覗き込む。
間近に迫った笑顔に、ちょっとドキリとして真純はクルリと背を向けた。
背の低い真純は、人の顔が至近距離にある事など、滅多にないのだ。
それで少し驚いた。
「いい子にしてるならね」
そう言って真純は再び歩き始めた。
後に続きながらシンヤは楽しそうに言う。