猫が好き!


 雑念を振り払い、一気に服を脱ぐ。
 その冷たさに身震いしながらパジャマに着替え、何の気なしに鏡を見て驚いた。

 身体の小さい真純は、大人用の服を着ると大概大きすぎる。
 パジャマも例に漏れずだぶついていた。
 一番上までボタンを留めても、V字に開いた胸元の先端は胸の谷間に達している。
 ちょうどそのあたりに、朝にはなかった赤紫のアザができていた。

 思わず身を乗り出して、鏡をのぞき込む。


「何、これ?」


 自分で言っておきながら、自分でツッコミを入れたくなる。
 それが何か分からないほど子どもじゃない。

 幸い今は冬なので肌を露出するような事はないが、うっかり人前で脱げなくなるではないか。
 どんなうっかりで脱ぐ事になるかまでは想像できないが——。

 そんな事を考えながら鏡の前に立ち尽くしていると、扉がノックされパジャマに着替えたシンヤがやってきた。

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