猫が好き!


 つくづく敵には回したくないコンピュータだと思う。
 命令されなければ動けない状態でよかったと思った。

 ひたすら感心している真純の横で、シンヤがため息をこぼす。


「てか、ダッシュが間抜けなんだよ。あいつ頭はいいんだろうけど、場慣れしてないっていうか、詰めが甘いっていうか。多分こういう事するの初めてなんじゃないかな」


 おまえが場慣れしすぎなんだよ、とは言わずにおいた。

 ハルコへの反転命令もそうだが、アクセス元を隠していなかった事も、そこへあっさり侵入を許した事も、あまりに初歩的なミスだという。

 シンヤは入手したファイルをコピーして真純に示した。
 ハルコのアクセス履歴を解析し、ダッシュの出没時間を探るのだ。

 昨日の停電以降、ハルコにアクセスしたのはダッシュだけなので、履歴に残るダッシュのユーザIDはすぐにわかった。
 それを元に、ハルコが感染してからの一週間分を調べる。

 全体量は膨大な量だが、シンヤがダッシュの履歴だけ抜き出してくれた。
 それでも一週間分となると、二人がかりでかなりの時間を費やした。

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