猫が好き!


 不服そうに口をとがらせて、シンヤは真純から離れる。
 しかしすぐにニッコリと笑った。


「ま、いっか。真純さんのお弁当久しぶりだし楽しみ。お花見以来だよね」


 花見の時も弁当と言えるようなものではなかったが、喜んでもらえるのは嬉しい。
 こういうところは、お手軽でよかったと思う。

 機嫌が直ったようなので、ノートパソコンを机の端によけて弁当を広げる。
 二人でサンドイッチを食べながら、シンヤがクスリと笑った。


「なんか部屋の中でこういうお弁当食べてると、遠足が雨で中止になった時みたいだね」


 窓の外は明るい冬の日差しが降り注いでいる。
 いつもと変わらない平和なクリスマスを迎えられるかどうかは、シンヤに託されていた。

 そしてそれはまだ、真純と瑞希以外、世界中の誰も知らない。
 このまま誰にも知られる事なく、無事に終わってくれることを願った。
 真純にはそれしかできないから。

< 334 / 354 >

この作品をシェア

pagetop