猫が好き!
不服そうに口をとがらせて、シンヤは真純から離れる。
しかしすぐにニッコリと笑った。
「ま、いっか。真純さんのお弁当久しぶりだし楽しみ。お花見以来だよね」
花見の時も弁当と言えるようなものではなかったが、喜んでもらえるのは嬉しい。
こういうところは、お手軽でよかったと思う。
機嫌が直ったようなので、ノートパソコンを机の端によけて弁当を広げる。
二人でサンドイッチを食べながら、シンヤがクスリと笑った。
「なんか部屋の中でこういうお弁当食べてると、遠足が雨で中止になった時みたいだね」
窓の外は明るい冬の日差しが降り注いでいる。
いつもと変わらない平和なクリスマスを迎えられるかどうかは、シンヤに託されていた。
そしてそれはまだ、真純と瑞希以外、世界中の誰も知らない。
このまま誰にも知られる事なく、無事に終わってくれることを願った。
真純にはそれしかできないから。