猫が好き!
「それって、今夜一晩じゃなくて、もうしばらくここにいるって事?」
「うん。そうさせてくれると、ありがたいんだけど」
シンヤは頭をかきながら、遠慮がちに笑う。
真純も笑顔を返す。
「いいよ。掃除してもらうと私も助かるし」
「本当? ありがとう」
シンヤは満面の笑顔を見せた。
なぜ承諾したのが、自分でも分からない。
名前も教えてくれない、本人曰く、素性も分からない男なのに。
もう少しだけ、この謎めいた子犬がどういう奴なのか、知りたいという好奇心なのかもしれない。
何より、この子犬の笑顔には、抗いがたい魔力があった。
「じゃ、同居を祝して乾杯!」
真純は笑顔で、シンヤと缶ビールの縁を合わせた。