猫が好き!


 まったく悪びれた様子もなく、瑞希はニコニコ笑う。

 シンヤの時もそうだったが、危機感がないというか、懐が深いどころのレベルではないと思う。

 ダッシュには損失分を給与天引きで、穴埋めしてもらうと言っていたが、辺奈商事の一日の損失額は半端じゃない。
 戒めを込めた罰としてのポーズなのだろう。

 結局瑞希は、ダッシュの名前も性別も教えてはくれなかった。
 それは瑞希とダッシュだけの秘密という事らしい。

 家に帰るとシンヤは出かけていた。
 クリスマスケーキを買いに行くと言っていたので、そのためだろう。

 コートを脱いで暖房を入れる。
 部屋が暖まってきた頃、いつも通りに騒々しくシンヤが帰ってきた。

 ケーキを持っていたからか、さすがに駆け込んでは来なかったが、興奮したように大股でドスドスと入ってきた。


「雪降り始めたよ! 寒かったー」

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