猫が好き!


 見ると頭や肩に溶けかけた雪が積もっている。
 タオルを取りに行こうと思った矢先、シンヤがプルプルと頭を振った。
 当然ながら頭の上の雪は、その辺に飛び散る。


「あぁ! もう、犬なんだから」
「あ、かかっちゃった? ごめん」
「そうじゃなくて……」


 脱力して俯く真純の目の前に、箱が差し出された。


「チキンも買ってきたよ」


 少し身をかがめてのぞき込む子犬の笑顔に、すっかり毒気を抜かれた真純は笑顔を返した。


「ありがとう」


 夕食は真純の作ったグラタンと、シンヤの買ってきたケーキとチキンで、ささやかなクリスマスディナーとなった。

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