猫が好き!


 夕食後、先に風呂を済ませた真純は、イタリアのスパークリングワインを飲みながら、カーテンの隙間から庭に降りしきる雪を眺めていた。

 雪は結構な勢いで、すでに庭は真っ白になっている。
 普段は真っ暗な庭が、雪のせいで薄明るい。

 ぼんやり見つめていると、真純の持ったワイングラスに、カチンとグラスがぶつけられた。
 振り返ると、風呂上がりのシンヤがグラスを持って立っていた。

 シンヤはワインを一口飲んで、真純の肩越しに庭をのぞき込む。


「もう大分積もってるね。僕、ホワイトクリスマスって初めてかも」


 真純もよく覚えていないので、初めてかもしれない。
 けれど平和で幸せな日常を実感した今日は、忘れられないような気がした。


「ねぇ、明日早起きして雪だるま作ろうか」


 真純の提案に、シンヤはなぜか渋い顔をする。

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