猫が好き!
なるべく不規則にならないように、決まったタイムスケジュールで生活するように心がけているのだ。
それを今、シンヤが乱そうとしている。
二階にあるゲストルームのひとつを、シンヤに使ってもらう事にした。
瑞希が住んでいた頃、泊まりがけで遊びに来た時、真純が使っていた部屋だ。
部屋には元々、シングルベッドと机、クローゼットが備え付けられているので、バストイレのないホテルの部屋のようだった。
部屋の前で扉をノックしながら名前を呼んだが、やはり返事はない。
真純は扉を開けて、部屋の中に入った。
カーテンの引かれた薄暗い部屋の中、案の定シンヤはベッドの上で眠っている。
人が入ってきた事にも気付かずに寝ているようでは、この子犬は番犬にはならないと呆れる。
真純はツカツカとベッドの側まで歩み寄り両ひざを付いて座ると、シンヤの耳元に顔を近付け大声で叫んだ。
「起きろ!」