猫が好き!
真純は足音も荒く玄関へ向かう。
一応、覗き穴から外を確認すると、はたしてそこにはシンヤの姿があった。
扉を開けると上機嫌のシンヤが、全く悪びれた様子もなく、笑顔で軽く手を挙げる。
「ただいま」
どうやら、かなり酔っているらしい。
その様子に、少しでも心配したのがバカバカしく思えて、真純は怒鳴りつけた。
「鍵、渡してあるでしょ?! 自分で開けたら? まさか無くしたんじゃないよね?!」
「んー。そうだったね。あるよ。ほら」
シンヤはポケットからキーホルダーを引っ張り出して、顔の横でチャラチャラ振って見せた。
「でも、真夜中にそんな大声出したら、近所迷惑だよ」