猫が好き!
連絡も寄越さず深夜に帰宅するという、同居の礼儀を欠いた事をしておきながら、モラルをとやかく言うシンヤに益々ムカついて、真純は更に声を荒げた。
「だったら、そんなとこに突っ立っていないで、さっさと入って扉を閉めて!」
「はいはーい」
小馬鹿にしたような返事にカチンと来たが、とりあえず家に入る。
廊下の途中で振り返り、腰に手を当てて睨み上げると、後ろからついてきていたシンヤが、不思議そうな表情を浮かべてその場に立ち止まった。
「こんな時間まで何してたの?」
努めて静かに問い質す。
シンヤは少し気まずそうに答えた。
「……クライアントに呼び出されて打ち合わせ。それが長引いちゃって、その後飲みに行ってた。交渉は決裂したけど」