猫が好き!
とてもシンヤの体重を支えられるわけもなく、真純は崩れるようにシンヤの下敷きになって廊下に倒れた。
「信じらんない! この酔っぱらい!」
苦労してシンヤの下から這い出した真純は、頭の上から思い切り怒鳴る。
それが全く聞こえていない様子で、シンヤは目を閉じたまま微動だにしない。
目を閉じた途端、睡魔に襲われたのだろうか。
それにしても、こんなに突然、電池が切れたように眠ってしまうとは、想像もしなかった。
おまけに全身の力が抜けているくせに、どういうわけか手首を掴んだ手だけは緩めない。
そのせいで身体の下から抜け出すのに苦労したのだ。
手首を掴んだ手をほどこうとして、ふとシンヤの寝顔が目に入る。
真純は手首をそのままに、空いた手で何気なくシンヤの頭を撫でた。
このまま元いた場所に捨てに行こうか、とすら思う。
けれど自分ひとりでは、この大きな子犬を運べないので、仕方なく断念したのだ。