猫が好き!
再び言いにくそうに口ごもるシンヤに、真純は思い付いたことを訊いてみた。
「もしかして、辺奈商事の仕事に興味あるの?」
途端にシンヤは、安心したように笑顔になる。
「あ、うん。そう。僕、今仕事してないし」
そういえば、ゆうべクライアントと交渉が決裂したと言っていた。
「そういう事なら瑞希に訊いておいてあげるよ。アポなしでいきなり会うのはマズイでしょ」
「うん……。じゃあ、一緒に行くだけでも。外で待ってるから」
なぜ一緒に来たがるのか意味が分からず、真純はついつい声を荒げる。
「だから、なんで?」
「なんでって……僕、真純さんの番犬だし」