猫が好き!
「なぁーんだ。実質的には抱きしめられただけなのね。あんた、うろたえすぎよ。いいじゃないキスくらい」
「よくないよ。そんな軽々しく」
「ま、最初からちょっと意外だとは思ったのよね。あんた昭和の女だし」
「瑞希だって昭和じゃん」
「生まれ年のこと言ってんじゃないわよ。学生の頃からそうじゃない。告白されても知らない人だからって断ったり」
確かに昔、そういう事もあった。
けれど告白にOKしたら、彼氏彼女として付き合うことになる。
知らない人とその瞬間から、彼氏彼女になるなんておかしいと思う。
だから断ったのだ。
黙り込む真純に、瑞希はからかうように言う。
「奥ゆかしいのも過ぎると、本当にフェアリーになっちゃうわよ」