猫が好き!


 しかしシンヤは、それを軽く躱し、再び真純を覗き込む。


「同じ手は二度と食わないよ。次はどうする?」


 別におもしろがってるようには見えない。

 目を細めて薄笑いを浮かべたまま、感情の見えないシンヤに軽い恐怖を感じて、真純の目には知らず知らずに涙が滲んできた。

 それに気付いたのか、シンヤの表情が動いた。
 申し訳なさそうに穏やかな笑みを浮かべて、手首を掴んだ手を緩める。


「もう少し警戒した方がいいよ。簡単に人を信じない方がいい」


 そう言ってシンヤは真純を解放し、身体を起こした。
 真純も身体を起こして、ソファに座り直す。

 気が抜けた途端に、涙が溢れ出した。
 背中を丸めて俯くと、ひざの上で握った手の甲に、パタパタと涙がこぼれ落ちる。

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