猫が好き!


「真純さん……」


 心配そうな声で、シンヤがにじり寄ってきた。
 伸ばそうとした手を、真純は一喝して制する。


「触らないで!」


 一瞬動きを止めたものの、シンヤはお構いなしに横から真純をそっと抱きしめた。

 真純の頭に頬を寄せて、囁くように言う。


「ごめんね。脅かし過ぎちゃった。でも本当に心配なんだよ」


 結局、何を心配しているのか、はっきりとは分からない。
 なんだか盛大に、はぐらかされたような気がする。

 怖かったはずなのに、すっぽりと包まれたシンヤの腕の中は案外心地よくて、次第に涙が退いていった。

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