猫が好き!


 シンヤは弾かれたように顔を上げて、即座に否定する。

 訊きたい事は他にもある。
 真純は感情を押し殺して、努めて冷静に問いかけた。


「じゃあ、どうして?」

「……目的のサーバは前の日に侵入した事が知られてる。だから外部からの侵入は警戒してるはずだ。でもハルコが合法的に介入してきたって事は、ハルコ経由なら警戒されないと思って……。真純さんのIDのアクセス権限を書き換えて、後で戻しておけば、ハルコ自身にも、しばらくは感付かれないし」

「何のために同じサーバに、また侵入したの?」

「後始末。前の日に途中で追い出されたから」


 通常、侵入がばれた後に、後始末なんてするものなのだろうか、と怪訝に思う。

 けれどそれより、もっと不可解な行動をシンヤは取っている。


「私が辺奈商事の在宅社員だって、最初から知ってたの?」
「ううん。それは偶然。ラッキーって思ったけど」


 これは本音だろう。

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