君に告げよう
特に永輝くん――。
物静かで、喜怒哀楽を顔に出さない。
ゆっくりとした口調で、優しく話す。
『優しい従兄弟のお兄ちゃん』という存在の永輝くん。
物心ついた時からそんな永輝くんといつも一緒にいたけれど……。
以前、街中でチンピラに絡まれた時、僕は永輝くんの違う一面を初めて見たんだ。
日曜の混雑した街中。
すれ違ったチンピラの集団の一人とぶつかってしまった僕は、予想した通り、ヤツらの餌食になってしまった。
「骨が折れた」だの「治療費出せ」だの、意味不明なことを言い出すチンピラに呆れていると、隣りにいた永輝くんが僕を庇うようにしてチンピラの前に身体を割り込ませた。
そして、相手の肩をぐいと掴むと、ほんの数秒、無言で睨みつけた。
その凍てつくような冷たい視線と内に潜めた静かな怒り。
――……ヤバイ。