君に告げよう

「あぁ。自分で蒔いた種だしな。……それに、啓介さんのこともあるし」



永輝くん……。

いま、どんな顔をしている?

吹っ切れた顔?つらそうな顔?

背を向けたままでいる僕は、こわくて……振り返って永輝くんを真っ直ぐに見ることができない。



「遼太郎。こっち向け」



すたすたと、こっちに向かって歩いてくる音が聞こえる。

足音が止まったと同時に、僕は肩をつかまれ、無理やり振り向かされる。



「永輝くん……」

「大丈夫だから。これが俺の選んだ道だから」



その顔は……とても穏やかで。

不覚にも、僕は泣きそうになってしまったんだ。



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