君に告げよう
伊地知はひどく驚いて、言葉を続ける。
「ぼ、僕が会ってもいいの?大丈夫なの?」
「……おまえは俺のダチだろ?それに永輝くんは怖くなんかねぇぞ」
「本当に?」
「あぁ」
安心したように伊地知は笑い、次の日曜日に永輝くんも含めて花札をすることを約束してくれた。
そして、僕が「じゃあな」と背を向けると、伊地知は明るい声で「竹島くん!」と呼び止めた。
「ありがとう!」
いつもの明るい笑顔と、「ありがとう」という言葉。
そして、僕はいつも、こいつが笑うと照れくさくなるんだ。
僕は口元を微かに緩ませると、何も返さずにそのまま伊地知の家を後にした。